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『特集』 乳癌の症状と診断について

 豊かな乳房は女性の象徴ともいうべきものですが、あるとき突然乳房にしこりを触れた時、あなたは・・・?しかし、いたずらに恐れる必要はありません。勇気を持って医療機関を受診し、正しい診断を受けましょう。今回は乳癌の症状と診断について説明します。
外 科
片方直人
まもなく乳癌は女性の癌の第一位に!
 乳癌は近年増加傾向にあります。日本人女性の乳癌罹患率、死亡率はまだ欧米諸国の1/2程度ですが、この30年間に約3倍に増加しており、このままいくと2010年ごろには女性の癌の中で乳癌が胃癌を抜いて罹患率第1位になると予想されます。乳癌が増えたことの背景としてライフスタイルの欧米化(食生活の変化、晩婚、少子化など)があるため、この傾向は今後も続くと予想されます。
乳癌はどんな病気?
 乳癌は乳腺の中の正常な細胞が、突然変異をきたし異常に増加する細胞に変化したものです。乳癌が発生しやすいところは、乳汁を乳頭へ送り出す乳管です。乳管の細胞が癌化して増え始めると、乳管の中だけでなく乳管の外にも広がり、時間の経週とともに血管やリンパ管を通って全身へと拡がっていきます。転移する前に手術を中心とした適切な治療ができれば乳癌は治ります。
乳癌の症状とは
乳腺外来を受診する女性患者さんの訴えとして乳房のしこりに続いて乳房の傷みが多いですが、乳癌そのものは痛みを伴いません。乳房の痛みは実は乳腺症によることが多いのです。では乳癌発見のきっかけになる症状にはどんなものがあるのでしょうか。? まず乳房にしこりを触れることが最も多く(約90%)、次に乳頭から異常分泌(多くは血性)がみられるもの(約5%)、その他腋窩リンパ節が腫れるもの、乳頭の湿疹様変化がみられるものなどがあります。また最近ではしこりを触れなくても乳房×線検査等をおこなった結果異常な陰影がみつかり、乳癌の発見のきっかけになることがあります。いっぽう乳房にしこりを触れてもそれが癌であると決まったわけではありません。特に40歳以下の若い女性では線維腺腫や乳腺症などの良性疾患であることの方がはるかに多いのです。
乳癌の診断
  昨今の医療技術の進歩にはめざましいものがあります。乳腺の分野もその例外ではなく診断方法、治療法もここ10年間で変わりつつあります。乳癌の診断においていくつかの検査があります。

・問診、視触診:医師が乳房を観察し、しこり等の性状を触って調べます。乳癌ではしこりの近くの皮膚にえくぼのようなくぽみをつくることがあります。

・乳房X線検査(マンモグラフイー):乳房専用の×線装置を使って乳房撮影します。 乳癌でみられた腫瘤陰影(しこりの影)と徹細石灰化(細かい砂をまいたような石灰化)

・乳房超音波検査(エコー):乳房に超音波をあてて異常エコー像の有無を観察します。

・細胞診:しこりから直接細胞を採取して細胞診断をおこないます。

・サーモグラフイー:乳房の温度分布を調べます。

 以上の検査は乳房に傷を残さずに行える検査ですが、これでも良性、悪性の診断がつかない場合、しこりを直接生検(局所切除)して組織診断を行います。
乳癌の治療
  乳癌と診断されれば原則として本人に告知しております。病状について主治医より十分な説明を受けてこれからの治療についても同意が得られた場合、入院のうえ手術を行います。手術にはしこりを含めた乳腺全部を切除する方法と乳房のふくらみを揖なわずに一部分の乳腺を切除する方法がありますが、病状によって治療法も異なります。
さいごに
  乳癌は胃癌や大腸癌など内蔵にできる癌と違って、体表面にできるので自分自身でも発見することができる癌なのです。ふだんから気を付けていれば早期のうちに発見でき、手遅れになることも少ないのです。30歳を越えたら年1回の乳癌検診に加えて月1回の自己検診を行うことが望まれます。乳房自己検診について知りたい方は外科外来にお問い合わせ下さい。

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